留守伝票

一番好きなアイス→ディッピンドッツ

「最強勇者!異世界留学生リュート!」を読んだ感想

おはようございます。僕です。

前回に引き続き、フォロワーさんから送られてきたなろう小説の感想を書いていきたいと思います。前回の記事にもコメントありがとうございます。
皆さんのコメントが作者さんに届いて改稿されているあたり、僕も何かの役に立てたようで良かったなあと思いました。コメントくださった皆さん、ありがとうございます。

さて、今回はこちらの「最強勇者!異世界留学生リュート!」という作品の感想を書いていきます。タイトルから「少年向け夕方アニメ感」がすごい。声に出して読むとわかるが、語感がそういう感じなのだ。声に出して読むだけで放送日時まで言ってくれそうだ。毎週土曜日、夕方五時から放送中!
こちらもこちらで感想が書きにくかった作品でした。なんというか、「僕とは違うベクトルの情熱を孕んだ作品だなぁ」という感じです。
人間、異文化的なものに触れるとなんとなく嫌悪感や不安を抱いたりするものですが、僕もその一人だったわけですね。体力の減り方がヤバイです。
こういった企画をすると今まで自分が出会ってこなかった新しいものに触れられるような感じがして新鮮ですが、その分体力をめちゃくちゃもっていかれますね。平穏な暮らしがしたい僕はやはりこういう企画は向いていないようです。もう二度とやりません。
はい。では感想いきましょう。

読んだ感想

こちらの作品は「異世界から人がきてチートハーレムするぜ!」って感じなんですが、作品説明で「ありそうでなかった」ってところには「普通にあるやろがい!」とツッコミを入れてしまった。すいません。いや、普通にあるよこういう設定の作品。
この作品は読んでいるとなんとなく某「冒頭から緑色の爆発が起こるなろう小説」を想起してしまいますが、きっとパクリでもなんでもないので受け流していこうと思います。

一話。一行目から「ここは中世ファンタジー風の世界、ファンタジア!」と超絶わかりやすい説明から入る。すごいシンプルでいてわかりやすい構造の一文だ。百均のグッズの中身かよ。
しかし一行空けた三行目には「とある町の中心部で今、大爆発が起きていた!」という文字が。いや、ちょっと待ってくれよ。
そんな僕の心の中の制止も空しく、さらに一行空けてオール擬音語で表現された爆発が目に飛び込んできた。それに続く「ぐわあああ」「くそおおお」という叫び。一行目で想像した世界がいきなり爆破された。希望などない。

どうやら爆発の中心地にいるリュートという少年(16歳)がこの事件を起こしたらしい。チンピラチャレンジャーをぶっ飛ばしてたらこうなったっぽい。もう頭が痛くなってきた。
電車の中でこれを読むのに、一文につき2秒とかからなかった。ナレーションが全部説明してくれる安心仕様で、あまりにも脳を使わない文体に逆に脳が疲れる。新感覚。早く海外SFの鬱陶しい文体を見て安心したい。

この時点でリュートが「勇者である」という説明は「勇者っぽい服装」以外全く出てこないが、多分今後出てくるので安心してください。
リュートは最強を極めたが故、この世界に飽いていた。なんせ0.000000001秒で村一つ廃墟に出来るのだ。この秒数設定も「脳を使っていない」という感じがあって素晴らしい。

さて、さっき廃村にしたはずの場所から一人の女がやってきた。アンジュという名前の天使(マジ)らしい。アンジュがいうには異世界人となんかなんやかんやあって「地球と異世界で〝最強の人〟交換しよう」という話になっていた。なんでかはわからない。「いろいろ話した」結果だからだ。いろいろかぁ……じゃあ仕方ないな……。

早速異世界転移を決めたリュートは光の輪っかでジュワーっつって転移した。面談室みたいなとこに飛ばされた。
ここでは超能力者が集められ、教育を受けているらしい。アンジュはこの世界では先生をやっているらしく、諸々の説明をあっさり承諾したリュートは早速教室に飛び込んだ。
「俺はリュート異世界から来た!元の世界じゃ最強勇者って呼ばれてた魔法剣士だ!こっちの世界でもてっぺんとってやるぜ!自信のある奴はいつでもかかってこい!」という完全に頭がやられている自己紹介をすると、当然クラスメイト達は冷ややかな視線を送ってきた。ざわついている教室を鎮めるため、アンジュが「粛清に。まもなく授業が始まります。準備してください」と呼びかけた。いや、粛清すな。「授業」ってなにやる気だよ。隠語か?ここで僕は不覚にも吹き出した。

そして冷ややかな視線を送っていた割には好奇心旺盛なクラスメイトから質問攻めを食らうリュート。謎の金髪縦ロールがその会話の様子をムズムズとした様子で聞いていた。そして「異世界出身」を自称リュートについにキレ、「異世界異世界うるさいですの!妄想癖がすぎますわ!テンプレなろう小説みたいに異世界異世界連呼しないでくださいます?」と叫んだ。金髪縦ロールというからには多分お嬢様なんだろうが、テンプレなろう小説を知っているツッコミを入れてきて「それでいいのか?」と思ってしまう。いや、今更この小説に「それでいいのか?」は不要だろう。それにこれは最早小説ではなく、「文字起こしされたコロコロコミックという表現が正しい。

なぜか「異世界ネタが嫌い」というお嬢様は決闘を挑んだ。リュートはそれを承諾し、金髪縦ロールは教室から出て行った。彼女は伊勢園子という名前で、クラスメイトがいうには「異世界に親を殺された」らしい。比喩じゃねぇのかよ。

時は進み、放課後に。リセットシステムというシステムが構築された体育館で決闘が行われるらしい。リセットシステムとは「どんなに建物がぶっ壊れても自動で再生するし、どんなに怪我してもすぐ治る」というご都合すぎてめだかボックスでしか使われているのを見たことがないシステムだ。
ちなみに、ここまでで本文には「決闘」という文字は一回しか出てきていない。「血統」「血糖」「結党」と全部誤字で外しにきている。そんなことある?しかし誤字を気にしている場合じゃないレベルの展開が本編では起こっている。これに気付いたのは、恐らくだが僕がこの一話を4回は読んでいるからだ。一回一回舐めるように読んでいたら気がついた。

伊勢園子は修学旅行先の土産屋でよく売ってる「龍が巻きついてる剣のキーホルダー」を武器として装備した。「それでいいのか」と思ったが、超能力で巨大化させて20mまでデカくした。いや、デカすぎ。マンションの階層にして6階強の高さだ。ギリギリ7階いかないレベル。でっっっっっけ。
「ものを巨大化させる」という伊勢園子の能力名は「丸々盛々(まるまるもりもり)」らしい。マジでコロコロコミックで「一話だけネタにされて以後なかったことにされる時事ネタ」にありそうだ。

しかしその説明もつかの間、重力を操る魔法を使ったリュートに園子は一瞬で敗北。舞台である川鷺市もぶっ壊れたが、リセットシステムにより復活。便利〜〜〜。
園子が異世界ネタを嫌っていた理由は両親がなろう系チートハーレムの信者でそれしか読ませてもらえず父親も「異世界転移した先で母親と出会った」と言い出したところかららしい。親死んでないんかい。いや、それはそれでマジでキツいんだけど。
もしも僕の父親から「実は異世界転移してそこでお母さんと出会ったんだよ」なんて聞かされた日には、その場で舌を噛み切って死んでしまいたい気分になる。末代までの恥でしょ。

理由を聞いたリュートは園子と固い握手を交わし、終了。
最後のほうに書かれていた「だがまだ異世界に来て6時間……これから一体どんな生活が待ち受けているのだろうか!?」という文で椅子ごとひっくり返ってしまった。一話の濃度〜〜〜〜!!!!!

はい。ではまとめの感想いってみましょう。


まとめの感想

この「最強勇者!異世界留学生リュート!」は現段階で6話まで公開されているので、本当だったら全話書く予定だったのですが、一話の時点でこの濃度の感想が出てくるのと、一話の感想を書き終えた時点で「終わった感」が出てしまって急激にやる気が失せたのでここで終わります。体力全て吸い取られそうだし、「この感想を書いた先には何もない」と本能でわかった。

この作品は「笑って楽しめる作品を目指している」らしいが、この小説で笑ったのは先生(天使)が誤字でクラスメイトを粛清する授業を始めたときだけだ。クラスメイト処刑すな。
作者さんのTwitter曰く、「ネット小説だからこそ出来るものを作る」ということを信条にしているらしいが、今の所「インターネットに広がっている様々なネタ」と「文字で読むコロコロコミック」「土曜の夕方からやっているアニメの脚本のプロット」を見せられている気分になる。

そもそも、インターネットにあるもののパロディは昨今の商業ラノベにも多々あり、既に飽和状態だ。ネット小説じゃなくても別にいいし、既にネットの外に出てる作品にもごまんとある。
そしてこの作品に出ているものはパロディとして扱うにはキツすぎるネタが多すぎる。淫夢語録や恒心教ネタが出てきたときはぶっ倒れるかと思った。
頼む〜〜〜!!!!!!身内で楽しむだけで止まってくれ〜〜〜!!!!杉田智和も言ってただろうが〜〜〜!!!!!

しかしこういった作品を読んだことでいろいろと学ぶこともあった。
「無駄なパロネタは寒いだけ」「パクったところで面白くないだけ」「勢いがあっても連載モノになったら話は別。所詮一発ネタ」「パロディ元が面白いのであって別にお前が面白いわけではない」というところです。下手なパロディは悪評を広めかねないので、本来は慎重に扱い、敬意を持って行われるものなんですが、パロディを飽和するまでぶちこんだ作品はそんな意識は欠片も見られません。読んでて一瞬「アニメのニャル子さんみたいだな」と思ったのもそのせいでしょう。
でも多分僕の肌に合わなかっただけで、なろう的にはウケるものなのかもしれません。だって作品にもポイントそこそこ入ってるし、感想も二件寄せられている。なろう業界が心配になってきた。誰か助けてくれ。


以上です。僕のTwitterでリプライを送って頂いたフォロワーさん、ありがとうございました。前回の記事をアップしてから「個人的でもいいから読んでくれ」とリプライがマジできてビビりました。よくあのツイート頑張って探してきたな。
僕は疲れたのでディックの小説でも読んで海外SFの鬱陶しい文体に癒されてこようと思います。
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。


おわり